出版社内容情報
乱歩と並び称される横溝正史の作家人生、ここに始まる! 表題作「恐ろしき四月馬鹿」でデビューを果たした正史の、変幻自在な才能が存分に発揮された全28編を収録。
【目次】
恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)
深紅の秘密
画室(アトリエ)の犯罪
丘の三軒家
キャン・シャック酒場(バー)
広告人形
裏切る時計
災難
赤屋敷の記録
悲しき郵便屋
飾り窓の中の恋人
犯罪を猟る男
執念
断髪流行
山名耕作の不思議な生活
鈴木と河越の話
ネクタイ綺譚
夫婦書簡文
あ・てる・てえる・ふいるむ
角男(つのおとこ)
川越雄作の不思議な旅館
双生児
片腕
ある女装冒険者の話
秋の挿話
二人の未亡人
カリオストロ夫人
丹夫人の化粧台
付録① 序にかえて想う
付録② 代作ざんげ 横溝正史/作者返上 江戸川乱歩
編者解説 日下三蔵
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902(明治35)年生まれ、1981(昭和56)年没。大正期より執筆活動を始め、伝説の雑誌「新青年」編集長として江戸川乱歩に名作『陰獣』を発表させるなど編集者としても活躍。戦後まもなく『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』という傑作長篇を発表、前者で第1回探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
62
著者の膨大な作品群から初期の作品を選んだ一冊。後年の土俗や血縁に満ちた大長編や中期の耽美主義は欠片も見えず、都会風の洒落たコントや新青年独特の恐怖小説が中心。新青年を引き継いで、それまでとは一線を画した都会風の雑誌にした著者の面目躍如といったところか。とはいえやはり著者の本領は後年の耽美や重厚さにある事は間違いないし。ファンならばもうとっくに読んでるだろうけど、こういう方向からデビューしたという再確認が出来て面白いと思う。乱歩とも後年の作家同士の関係ではなく、作家と編集者としての立場からとか興味深いし。2018/01/29
keroppi
55
横溝さん最初期の作品たち。かなりバラエティに富んでいる。殺人事件が起きないものもあるし、ユーモアに溢れたものもある。こうやって読んでくると、横溝さんの描写は絵的なものが多いような気がする。画家や写真家が登場人物となっているものも多く、色がテーマになっているものもある。この作品集の「画室の犯罪」に至っては、殺人現場がまるで絵のようだと綴られている。3巻続けて読んだが、こんなに横溝作品を読んだのは、学生の頃以来だな。そのせいか、何となく熱っぽくなってきて、明日からのゴールデンウィークをどうしようと思っている。2018/04/27
紫陽花
34
数十年ぶりの再読。表題の「恐ろしき四月馬鹿」など14作品で構成されています。横溝さんの小説といえば、「殺人事件」なんですが、殺人事件が発生しない作品もあるなど、色んなパターンの話があります。ひとつの作品が短い分、それぞれの内容は濃いように思えます。今の時代には合わない内容のものもありますが、こういうときもあったんだなあとノスタルジックを感じながら読みました。2023/04/09
ぐうぐう
31
横溝正史の小説は、1970年代に角川書店が仕掛けたメディアミックスにより、その多くが文庫化され、ベストセラーとなった。角川文庫に未収録のものも、90年代になって複数の出版社から刊行され、もはや手軽に読めない横溝作品などないのではないかと思っていたのだが、編者である日下三蔵の解説によれば、横溝作品をほぼ網羅した角川文庫も、現在では版を重ねているのは金田一ものばかりで、それ以外の作品は出版不況が続く中、入手困難な状態となっているのだという。(つづく)2018/02/13
アラム
9
短編集だが予想外に読みすすめるのに時間がかかってびっくり。凄惨な事件ものではなく、ユーモアある作品たちであった。1つ1つはちょっと物足りないような気もするが…。2021/01/13